何千年も前から、深い瞑想状態を経験した神秘者や覚者などと呼ばれる人たちは、物質の本質は空(くう)である、物質世界は幻想 (マヤ) である、全てはつながっている、全ては一つであるなど、この世の真実を説いてきました。皆さんの中には、これらのいわゆるスピリチュアルな言説は非科学的で、非合理的で、曖昧であると考える方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。一般的にも、スピリチュアリティは科学的な根拠のない怪しげな世界として考えられてきた傾向があります。

しかし近年、科学がスピリチュアリティを解明し始めた、スピリチュアリティと科学が融合し始めた、などと言われることがあります。その理由の一つとして、科学の最先端をいく量子力学の解明しつつある世界観が、スピリチュアルな世界観と酷似していることが挙げられます。「コペンハーゲン解釈」という量子力学の実験結果などについての一般的な解釈がありますが、それを読むと、悟りを開いた神秘者が言っていることなのか、物理学者が言っていることなのか見分けのつかないことがあります。これはとても興味深いことではないでしょうか。

量子力学の世界は、超ミクロの世界を超高速でうごめくエネルギーの世界です(僕ら素人にはこの程度の定義で十分かと思います)。つまり、それは人の五感では感知できない世界です。そのため、量子力学が示すことは、我々の日常的な経験に照らし合わせると、不思議で矛盾めいて聞こえることが多いかもしれません。日常的な経験に基づく常識からあまりにも掛け離れているため、有り得ないと思えるかもしれません。それはとても自然な反応です。











